上野駅前皮膚科
皮膚科 小児皮膚科 アレルギー科
03-6284-2496
月曜から土曜まで毎日診療
休診日/日曜日・祝日
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粉瘤(ふんりゅう)、アテローマ、アテロームについて
当院では炎症性粉瘤に対して根治的手術は行っていません。
日本では嚢腫(被膜に包まれた隆起性病変)の中に粥状物(あか)が詰まっているものを臨床診断名で粉瘤と呼んでいますが、粉瘤は病理組織学的には類表皮嚢腫、外毛根鞘嚢腫などの嚢腫を包括した診断名です。ここではその中でも一番多い、類表皮嚢腫を粉瘤の代表例として説明していきます。
原因としては、表皮または毛由来の上皮成分が真皮内に陥入し、それが増殖して内部に垢を入れた嚢腫を形成します。手掌、足底などの一部では、外傷による表皮成分の埋入やHPV(ヒトパピローマウイルス)感染などが関与すると考えられています。
症状としては、徐々に増大する隆起性の直径1~2cm程度(ときに10cm以上)の皮内または皮下の腫瘍です。頭部、顔、耳、頚部、背中、胸腹部、腰部、尻、性器、手、足とどこにでもできる可能性があります。通常数個までですが、まれに多発性の場合もあります。しばしば中央に黒色点の開口部があり、強く圧迫するとときに内容物(悪臭のある粥状物)が排出されます。肌色もしくはやや青味がかった色調です。通常、自覚症状はないですが、2次感染をきたしたり嚢腫壁が破れたりすると発赤や腫脹、痛みが出てきてこの場合は炎症性粉瘤と言います。脂肪の塊が気になるとして受診される患者さんの大半はこの粉瘤で、実際には脂肪腫(脂肪の塊)でないことが多いです。
治療の原則は嚢腫の完全摘出です。二次感染を起こしているものに対しては抗菌薬の内服も行います。当院での治療方針は以下のようになります。なるべく痛みが少なく、傷あとが残らないように心掛けています。
炎症を起こしていないもの
①くり抜き法
局所麻酔後に嚢腫頂点のへそ(黒い点のあるところ)を含むように4~6mmのトレパンで円柱状にくり抜き、内容物をすべて圧出して嚢腫壁を周りの皮膚から剥離して摘出していきます。傷あとが小さくて済むので顔面などは特にいい適応です。
②摘出術
粉瘤に対する標準的な治療法です。
局所麻酔後に木の葉状に切開を加え、嚢腫の壁に沿って剥離して嚢腫を摘出する方法です。止血後、真皮と皮膚の表面を縫合します。きれいに取れば再発することはないです。
なるべく傷あとを残さないように切開線は小さくしていますが、それでも大きさにもよりますが粉瘤の大きさと同程度の線状の傷跡が残ります。臨床的に粉瘤と確定できない場合は、初めから摘出術を選択します。
炎症を起こしているもの
切開排膿
炎症性粉瘤に対しての標準的な治療法です。
局所麻酔後にトレパンでくりぬきもしくは、線状に切開を加え、膿や内容物をできる限り出し患部を洗浄後、ガーゼを詰めます。処置自体は短時間ですぐでき、炎症はおさまりますが、またしばらくすると再発する可能性があります。切開を行った場合、切開後数日は原則連日の通院が必要です。
手術で完全に摘出するような場合は、術前に感染症などの血液検査をする必要があります。また通常、手術日、翌日、1週間後、2週間後(組織検査の結果説明)のために受診していただく必要があります。
Q&A
①手術費用(治療代)はどのくらいかかりますか?
手技、大きさ、部位によって値段は異なります。
大きさがもっと大きい場合は上記以上の費用がかかるため詳しくは診察時にご相談ください。
②受診後すぐに治療は可能ですか?
切開排膿はその場ですぐできますが、摘出術およびくり抜き法の場合は基本的に術前の血液検査をして、予約をとっていただき予約の日に治療となります。
③術後どういうことに気をつければいいでしょうか?
当日はシャワー、飲酒、運動は控えてください。局所麻酔なので飲食は可能です。基本的に翌日受診していただき、特に問題なければ翌日からシャワーOKです。
④手術希望の場合は何科にいけばいいでしょうか?
皮膚科、形成外科、外科などさまざまな科で治療が行われています。