陥入爪・巻き爪

よく巻き爪になってしまってと言われることが多いですが、実際には陥入爪であることが本当に多いです。
陥入爪(ingrown nail)とは、深爪や爪の先端に強い力が加わり爪の側縁の先端が周囲の組織を損傷して発症します。爪のまわりに発赤、腫脹を認め、しばしば易出血性の肉芽を形成します。
巻き爪(pincer nail)は先端の狭い履物などにより爪が内側に弯曲し爪の下の爪床に食い込むことで生じます。
以下陥入爪について説明していきます。

原因として窮屈な靴、先端の尖った靴、趾先端部組織が柔軟性に富むこと、歩行時の圧力と足のバランスの不完全さ、多汗症、深爪などが考えられていますが、一番の原因は深爪です。テニス、サッカー、バスケットボールのような瞬発力を要する運動やバレー、また先端を踏まれることをきっかけに発症したりします。
中学生で男女とも14%くらいに認められるとの報告もあります。
母趾に生じることが多いですが手の指にもできます。
症状は次の3段階に分類されます。

  • 第1度:疼痛と側爪郭の軽度の発赤と腫脹の時期で、対症療法が可能な段階
  • 第2度:化膿、浮腫、肉芽の形成があり、強い疼痛を伴う時期で、相対的手術適応のある段階
  • 第3度:化膿を繰り返し、側爪郭の肥厚があり、肉芽組織が爪甲の上に形成され、強い疼痛があり、絶対的手術適応のある段階

陥入爪の治療法は実にさまざまです。
当院で行っている治療法は下記の4つです。

  • ①抗菌薬の経口投与とステロイド外用塗布
    軽症の陥入爪では、深爪の程度が軽い場合には肉芽や発赤腫脹部位にステロイド薬を外用し、抗生物質を内服すると治癒します。
  • ②テーピング法
    布製の弾性絆創膏を爪が刺さりこんでいる側爪郭遠位部の皮膚から指の腹側を斜めに引っ張るようにして回して巻き付け、反対側の指の基部に固定します。
    軽症の陥入爪が適応になります。
  • ③ワイヤー法
    陥入爪、巻き爪両方に適応があります。爪に針で穴をあけ超弾性ワイヤー(ニッケル、チタン合金)を通して曲がった爪の形を矯正します。麻酔が必要なく施術時の痛みがないです。軽症の陥入爪に対しては有効です。ただ自費診療となります。
  • ④フェノール法
    保存的治療で治らない難治性の陥入爪がいい適応です。麻酔後に食い込んでいる爪の部分を切り取り、フェノールをかけてその部分に爪が生えてこないようにします。術後数週間は患部の処置が必要になります。

当院では行っていませんが主な治療だけでも

  • 保存的治療:コットンパッキング法、ガター法、VHO式爪矯正、アクリル人工爪療法、形状記憶合金製フック
  • 手術療法:楔状切除術(鬼塚法)、陥入爪の部分抜爪

など様々な方法があります。

Q&A
①施術費用はいくらですか?

  • フェノール法
    1か所につき3割負担の方で8000円程度(院外処方せんなどすべて含みます)です。
  • ワイヤー法
    1か所につき8000円(自費診療)になります。

②受診後すぐに治療は可能ですか?

  • 当院では、フェノール法やワイヤー法希望の方は、一度受診していただき後日の予約をとっていただく形を取っており、受診当日には施術できません。フェノール法の場合観血的手術のため術前の血液検査が必要です。

③施術後どういうことに気をつければいいでしょうか?

  • フェノール法施行当日はシャワー、飲酒、運動は控えてください。局所麻酔なので飲食は可能です。翌日創部の確認のため受診していただき問題なければシャワーはOKです。創部が治るまで数週間は湯船には入れません。ワイヤー法施行の方は当日から特に制限はありません。